今の支店に異動になって、早2年4ヶ月。

 今年度になって、支店内で異動し、今まで苦労しながら頑張って築いてきた仕事を卒業し、新たな仕事へ。

 とはいっても、異動になる前は、前の仕事も今の仕事も兼任していたけど、今の支店では、完全専業なので、2年間は遠ざかっていた状態だった。

 見覚えのある顔だけど、名前が思い出せないお客さんが一人、私にこう話しかけてきた。

 〇〇の会計をやっていた者だけど、その節は大変お世話になりました。小銭いつも持ってきて、迷惑かけたで。あんたに定期してあげようと思って来たんだけど、こっちの担当だと、もう割当はないか?

 思いがけない言葉に、目がテン。仕事が変わったって、もちろん割当(ノルマ)はある。

 いえいえ、そんなことないです。ありがとうございます!!

 立ち上がってお礼。顔はびっくりするやらうれしいやらで、ちょっと赤くなっていたと思う。一気に汗出てきたから(汗)

 世の中には、いい人もいたもんだ…うれしい限り。

 確かに今はキャンペーン中で、金利アップしている時期だけど、わざわざ隣の窓口で現金を引き出してくれて、こちらでこっそりと申し込みをしてくれた。

 さすがに、おおっぴらにやると、気が引けるようで、他の人にやらしいで、と言いながら書いてくれた。

 わざわざ私を指名して何かしらやってあげよう、なんていうのは、よほどのベテランか渉外でない限り、なかなかないことだ。ましてや、身内でも友達でもなんでもない人からなんて。

 確かに、前の仕事では、窓口として誰よりも一生懸命に頑張ってきたつもりだ。数字に直接現れないような接客を軽視する輩は、お客様ではなく下を向いて自分の仕事ばかりを優先して、要領こそいいが、それでは、本当にお客様のことを考えているとは言えない。

 手が空くと、ベラベラおしゃべりして、お客様から見てみっともないことこの上ない。こちらは、必死になって接客、仕事しているというのに。

 そのことでは、随分苦しんできた。上司は数字しか見てない、いくら接客を極めても、それは評価につながらない、認めてもらえない、と。

 吹っ切れたのは、母の言葉。

 たまたま支店に用があって来てくれたとき、私が真っ先にお客さん(母)に気づいてあいさつして、受け入れ態勢になってる。あとの人は、そこにいるのかすらわからない。窓口だなんて思わない。

 私のところばかりにお客さんがきて大変、隣の窓口の人は、注意しても自分の仕事ばかりしている、というけど、それは、お客さんがあんたならやってくれる、と思って来てくれるんや。お客さんは見てるんや。
 
 実際に私の仕事ぶりを見て、そう認めてくれたから、ほっとしたしうれしかった。

 自分が間違っているなんて思っていなかったけど、自分ひとりでトゲトゲしていたから、味方してくれたことで、これでよかったんだって思えた。トゲトゲが和らいだ。

 自分の苦手な分野のノルマも、彼氏や周りに教えてもらいこそしたものの、最終的には自分の力で集中的にやって、達成した。みんなが帰るのを横目で見ながら、支店には、支店長や課長、渉外しかいなくなってしまっても、一人残ってやっていた。一生懸命追い上げた。

 そのことを、彼氏は、上司も評価してくれると思うよ、といってくれた。私が彼と付き合っていることを知っていて、毎晩遅くまで残っている私を見ている人は、毎晩すごいね、彼氏にやってもらいなよ、みたいに私に言っていた。確かに、何もせずに実績だけもらったら、楽だったかもしれないけど、彼氏に申し訳ないし、それでは何の力にもならない。彼氏には、方法を教えてもらった。そうやって面倒見てもらったから、できるようになってきた。今年からその苦手な分野の担当になり、今は、後輩を指導する立場にもある。

 他に、新人に教える講師も一年間やった。それも、テキストを読み込んで改めて勉強して、必要だと思ったら、他に資料を探して作った。かなり力を入れてやっていた。自分が本当にわかっていないと、相手にも説明できないから。別に給料にも関係ないし、適当にやっている人もいたけど、必要なときには遅くまで残ってやっていた。

 講師の指導をしてくれる人には勿論たくさん聞いた。また頭いいんだ、これが…自分が嫌になるくらい。私が混乱して、意味のわからないことを言っても、ちゃんと意図を汲み取ってくれて、私に分かるように一つ一つ絡まった糸をほぐしていく感じ。理路整然としていて、さすがの一言。その他にも、昔講師をしたことのある先輩に話を聞いたり、専用端末については課長代理や支店長まで巻き込んで、勉強や資料作りをしていた。勉強することや教えることか、自分には合っているようだ。

 今年度の支店内異動は、そうやって講師やノルマについてわからないことでも努力して勉強してやっていたのを見て、大丈夫だと思ってくれたみたいだった。あの、人を褒めない支店長が。

 講師は、上司に評価されたくて頑張っていたわけじゃない。ただ、自分の納得行くようにしたかったのだ。

 そういえば、会議で、役職についていない私が、なぜか担当者として説明したことがあった。あれは、正直、うれしかった。嫌とか面倒とか思わない。自分が特別扱いされているみたいで。

 そうやって自信をつけていった。

 隣の窓口の人のことも、再三上司に言って、注意してもらったり、自分で言ったりした。

 今まで、あまり聞く耳持ってなかったようだけど、やっと聞いて注意してもらえたので、実績が伴ったり、努力の積み重ねが目に見えれば、認めてもらえるんだと思った。

 また、自分の言動にも、更に自信が持てるということを実感した。嫉妬したり、必要以上に人と比べる時間とパワーを、自分を成長させるために使えたらいいと思った。
 
 お客さんから見て、どういう風に思われているかわからなかったけど、今回のことで、ちゃんと見てくれているお客さんはいるんだ、と思った。一生懸命接客しているのは、伝わっていたんだ、とうれしくなった。

 そういうのって、信頼関係の積み重ねだなと思う。

 とにかく、うれしかった。
 

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